Quantcast
Channel: マイナビ農業について –マイナビ農業-就農、農業ニュースなどが集まる農業情報総合サイト
Viewing all articles
Browse latest Browse all 546

広島菜ってどんな野菜? 旬や栽培方法、おいしく食べるレシピを解説【日本伝統野菜推進協会監修】

$
0
0

広島菜とはどんな野菜?

1.広島菜畑

広島菜は、広島地方が原産のアブラナ科アブラナ属の野菜です。非結球性のハクサイの一種で、「平茎菜(ひらぐきな)」とも言います。葉は濃い緑色で、幅が広く肉厚で、縦にくっきりと葉脈が入り、縁に切れ込みがないのが特徴です。一株の重量は1.5~3kgに達し、ずっしりと大きく育ちます。

主産地で「広島菜の発祥の地」と言われる広島市安佐南区の川内地区は、古川と太田川に挟まれた水はけが良い土壌で、古くから野菜作りが盛んな地域です。収穫された広島菜は、ほぼ全量が広島菜漬けに加工されます。近年は、若いうちに収穫したものが「ミニ広島菜」という名称で産地のスーパーや生協などで販売されています。

広島菜の来歴は諸説ありますが、京都西本願寺に由来する説が有力です。ひとつに、江戸時代に壬生菜(みぶな)に近い形状の種子を持ち帰って栽培を始めたという説。もうひとつに、明治時代に京都西本願寺に参詣した帰りに観音寺白菜の種をもらいうけて白菜と交配して新品種を作り出したという説があります。また、平安時代に平清盛が安芸守に赴任した際に厳島で賞味したという伝説もあります。

正式な命名は、1933(昭和8)年、広島産業奨励館(現・原爆ドーム)で開催された産業博覧会で発表・展示されました。

味の特徴

広島菜は、繊維質が少なく、漬物にするとシャキシャキとした歯切れの良い食感と、ワサビに似た成分のピリッとした風味が特徴です。ご飯との相性が良く、昔から郷土食の「菜巻きむすび」や「古漬けのお茶漬け」に使われるほか、牡蠣飯などにも添えられます。

旬の時期

広島菜は暑さに弱いため秋に種をまき、11月から1月に収穫のピークを迎えます。寒さが厳しくなると一段と風味を増します。広島菜漬けは、広島の冬の味覚を代表する特産品です。

含まれている主な栄養と効果

広島菜はビタミン、ミネラルを多く含む緑黄色野菜です。特に、βカロテン、ビタミンKを多く含み、塩漬けにしても損なわれません。このほか、カルシウム、葉酸、モリブデンなども比較的多く含んでいます。

βカロテン

体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜、目の健康に役立つとされています。強い抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を除去する働きが期待されています。βカロテンは、加熱することで吸収率が高まり、効率的に摂取できます。

ビタミンK

血液中のプロトロビンの生成に必要なビタミンで、血液の凝固性を維持し、止血・解毒・利尿作用を有します。骨形成の調整にも必要とされています。熱に対して強い性質を持ち、加熱調理でも摂取することができます。

葉酸

水溶性のビタミンで、赤血球の生成を助け、DNAなどの核酸やタンパク質の合成を促すほか、各種貧血の改善にも効果が期待されます。熱や水に弱い性質があるため、生食や水を使わない短時間の加熱調理がおすすめです。

モリブデン

微量ミネラルの一種で、酸化還元酵素を助ける働きがあり、体内の代謝に重要な役割を果たします。体内で作ることができないため食事等で摂取します。

広島菜漬けとは

3.広島菜漬けと古漬け

「広島菜漬け」は、九州の「高菜漬け」、信州の「野沢菜漬け」と並ぶ三大菜漬けのひとつです。広島菜漬けは、加工会社それぞれに伝統の製法がありますが、主に広島菜を塩で下漬けした後、麴、塩、昆布などで本漬けして作られます。

また、広島菜漬けには、浅漬けと古漬けがあります。浅漬けは、3~4日漬けたもので、鮮やかな緑色でシャキシャキとした食感とわさびのような香りが特徴。古漬けは、広島菜を半年以上漬け込み乳酸発酵させた独特の酸味と旨味が特徴です。浅漬けの赤しそ風味、レモン風味、古漬けを牡蠣しょうゆで漬け込んだものなど、広島県内の各加工会社の創意工夫で、バリエーション豊富な広島菜漬けが作られています。

広島菜の育て方

4.広島菜の種

広島菜は水はけの良い中性に近い土壌を好みます。条件さえ合えば、草勢が強くプランターでも栽培しやすい菜類です。株が大きく育つので、適宜間引き菜を料理に使いながら、株間を確保しましょう。

畑の準備

種をまく2週間ほど前までに畑に石灰を散布し、よく耕して土を中和させ、堆肥などの元肥を混ぜておきます。

種まき

幅60cmほどの畝を作り、1条のまき溝を作って筋まきし、種が隠れる程度の土をかけ、たっぷりと水を与えます。

水やり・間引き

発芽まで土が乾燥しないように注意して水やりをします。発芽後、本葉2枚ごろから間引きを始め、本葉5~6枚ごろに株間30cm程度になるようにします。

収穫

種をまいてから2~3カ月で葉が重なり深い緑色になったら収穫適期です。

広島菜を育てる時に注意したい病害虫と対策

同じアブラナ科のハクサイやキャベツと同様に、春から秋にかけてコナガ、アブラムシ、ヨトウムシなどの発生に注意しましょう。

コナガ

アブラナ科の植物を好んで産卵し、幼虫がその葉や新芽を食害します。真夏を除く春から秋の暖かい時期に発生しやすく、薬剤での防除が難しいので、網目の細かい防虫ネットや寒冷紗を使って成虫の侵入を防ぎましょう。防虫ネットはアブラムシ対策にも有効です。

アブラムシ

窒素成分の過多で発生しやすく、日当たり・風通しの悪い環境で増殖し、葉裏や新芽に寄生して汁を吸って作物を加害します。見つけたら水で洗い流す、粘着テープで取り除くなどして除去しましょう。黄色に集まる性質を利用して、黄色の粘着板を設置する方法もあります。

ヨトウムシ

夜行性の蛾の幼虫で、夜になると活動を始めて葉を食害します。土中で越冬して春から秋にかけて葉裏に大量に産卵するので、日頃から作物を観察して卵を発見し、孵化する前に取り除きます。防虫ネットをかけて成虫を侵入させないことも有効な対策です。

おいしい広島菜の選び方

広島菜はほとんどが漬物に加工されますが、近年は、広島菜を若いうちに収穫したものが「ミニ広島菜」として調理用や生食用に出荷されています。葉の色が鮮やかで艶があり、全体に張りがあるものが新鮮です。漬物にする場合は、株の張りが良く、葉や茎が肉厚なものを選びましょう。

広島菜の保存方法

湿らせた新聞紙で包み、できれば冷蔵庫に立てて保存して早めに使い切ります。加工品の広島菜漬けは、冷蔵庫で2週間程度。商品によっては、冷暗所で3カ月程度保存できるものもあります。

広島菜の食べ方とレシピ5選

広島菜は生産量のほとんどが漬物に加工されて出回りますが、産地では「ミニ広島菜」が調理・生食用として出荷されています。ここでは、ミニ広島菜の調理例と広島菜漬けのアレンジレシピを紹介します。

ごま和え

5.広島菜のごま和え

緑色が鮮やかな広島菜と赤色のニンジンを合わせたシンプルなごま和え。広島菜の歯ざわりとピリッとした風味がアクセントになります。

材料(作りやすい分量)
・ミニ広島菜 1パック(200g)
・ニンジン      30g
・白すりごま     小さじ2
・しょうゆ      小さじ2
・砂糖        小さじ2

作り方
1.広島菜は株元に十字に切れ込みを入れて良く洗い、土や汚れを落とす
2.ニンジンは3cm程度の長さに千切りする
3.鍋に湯を沸かし、先にニンジンを茹でて柔らかくなったら、広島菜を株元から入れて茹で、葉が鮮やかな緑色になったらザルにあげ、冷水に取って色止めをする
4.広島菜の水気を切り、食べやすい大きさに切る。ニンジンも水気を切る
5.ボウルに4と白すりごま、しょうゆ、砂糖を入れてほぐし混ぜ、器に盛る

広島菜と牛肉のオイスターソース炒め

6.広島菜と牛肉のオイスター炒め

同じく広島特産のかきの油(オイスターソース)で調味。シャキシャキの広島菜を濃厚なコクと旨みでいただきます。

材料
・ミニ広島菜1パック(200g)
・牛こま切れ肉  150g
・エリンギ     1本
・オイスターソース 大さじ1
・しょうゆ     大さじ1
・みりん      大さじ1
・鶏ガラスープの素 小さじ1
・ごま油      大さじ1/2

作り方
1.広島菜は根元を切り落とし3cm幅に切る
2.エリンギは縦4分の1にして、食べやすい大きさに切る
3.フライパンにごま油を引き、中火で熱して牛こま切れ肉を炒める
4.牛こま切れ肉に火が通ったら、広島菜とエリンギを入れ、みりん、しょうゆ、オイスターソース、鶏ガラスープの素を加えて炒め合わせて、ソースが馴染んだら火を止める

広島菜漬けの食べ方とアレンジレシピ

そのまま食べておいしい広島菜漬けは、料理の素材としても多用途です。味の決め手にもなるレシピを紹介します。

広島菜むすび

7.広島菜むすび

ご飯を広島菜漬けで巻いたおむすびは、広島県の郷土料理です。広島菜の葉の幅広さと葉脈の直線的な美しさが生かされています。

材料(2人分)
・ごはん   200g
・広島菜漬け 2枚
・白ごま   適量
・かつおぶし 適量
・しょうゆ  適量

作り方
1.広島菜漬けは、茎の部分を切り分け、細かく刻む
2.ボウルに1と白ごま、かつおぶし、しょうゆを入れて混ぜ、ごはんを加えて混ぜ合わせる
3.2をおむすびにして、広島菜の葉で包む

広島菜漬けとちりめんの炒め物

8.広島菜とちりめんじゃこ炒め

瀬戸内の名産のちりめんじゃこと広島菜漬けは好相性。郷土色豊かな家庭の味は、ご飯のお供にもぴったりです。

材料(2人分)
・広島菜漬け   50g
・ちりめんじゃこ 大さじ1
・ごま油     適量
・しょうゆ    少々
・白ごま     少々

作り方
1.広島菜漬けは3センチの長さに切る
2.フライパンにごま油を熱し、ちりめんじゃこと広島菜漬けを入れて炒め、しょうゆで味を整える
3.器に盛り、白ごまを散らす

広島菜漬けスパゲッティ

9.広島菜漬けスパゲッティ

油の種類を問わず馴染む広島菜漬けは、パスタソースの具材にも好適。程良い塩味と爽やかな辛さ、軽快な歯応えをプラスしてくれます。

材料(2人分)
・スパゲッティ     160g
・広島菜漬け       80g
・ベーコン       40g
・トマト(中玉)    2個
・ニンニク(みじん切り)1かけ
・オリーブオイル    大さじ1 
・しょうゆ       小さじ2

作り方
1.パスタは湯に適量の塩(分量外)を加えて茹でる
2.広島菜漬けとベーコンは1センチ幅に切り、トマトは湯むきして4等分に切る
3.フライパンにオリーブオイルとニンニク(みじん切り)を熱し、香りが立ったら2を入れて炒め、しょうゆを加えて味を調える
4.茹で上がったパスタを加えて軽く炒めて火を止める
※好みでレモン汁(分量外)を搾っても良い

種類豊富な広島菜漬けで、広島菜を味わう

広島菜は菜漬けの原料として主に広島市の川内地区で古くから栽培されてきた伝統野菜です。特産品の広島菜漬けは、九州の高菜漬け、信州の野沢菜漬けと並ぶ三大菜漬けのひとつに数えられています。広島菜の栽培は若手生産者らに受け継がれ、ミニ広島菜の商品化などの新たな取り組みをしながら、その種子を守るために自家採取し、地域を挙げて他の種子との交雑を防ぐために外来種の除去に当たっています。

10.広島菜漬け各種

広島菜は晩秋から冬にかけて収穫され、広島菜漬けが冬の味覚として出回りますが、各加工会社の直販や広島土産として通年で入手することができます。広島菜漬けを食べ比べたり、さまざまなアレンジ料理を楽しんで、伝統の味を嚙みしめてみてはいかがでしょう。

取材協力:一般社団法人日本伝統野菜推進協会


Viewing all articles
Browse latest Browse all 546

Trending Articles