アボカドって?
アボカドは、見た目のゴツゴツ感とは裏腹に、クリーミーで濃厚な味わいが人気の果物です。「森のバター」や「食べる美容液」と呼ばれるほど栄養価が高く、ビタミンEや葉酸、不飽和脂肪酸など健康と美容にうれしい成分がたっぷり含まれています。特に、コレステロールを調整したり、抗酸化作用で若々しさを保つ効果が期待されます。
一年を通して楽しめますが、日本に多く輸入されているメキシコ産のハスという品種では、特に秋から冬が最もおいしい旬の時期です。他にもフエルテやベーコンなどの品種があり、それぞれ風味や果肉の滑らかさに特徴があります。
アボカドの果皮が黒っぽくなり、弾力が出てきたら食べ頃。サラダやディップ、更にはお寿司のネタとしても相性抜群です。
アボカドは家庭菜園できる?
アボカドは、自宅で栽培することも可能な果物です。一般的には熱帯果樹として知られますが、耐寒性が高く、マイナス6℃程度まで耐えられる品種もあります。家庭菜園でアボカドを育てたいなら、「接ぎ木苗」から始めるのがポイントです。接ぎ木苗はタネから育てる方法と比べて成長が早く、数年以内に果実が期待できるため、初めての人にもおすすめです。
アボカド栽培をはじめるのに適した時期は春。気温が20℃以上の日が続く頃に植え付けると、順調に育ちます。また、植え付け場所は排水性の良い土壌と半日陰が理想的。特に幼木は直射日光に弱いため、日差しを軽減する工夫が必要です。庭植の場合は一度植えたら移植が難しいため、最適な場所を慎重に選びましょう。鉢植え栽培であれば樹高を抑えられ、移動も容易なので、迷う場合は鉢植えにするのもおすすめです。
アボカドの開花タイプについて
アボカドの木にはAタイプとBタイプの2種類の開花タイプがあります。Aタイプは午前中に雌花、午後に雄花が咲き、Bタイプはその逆で午前中に雄花、午後に雌花が咲きます。1つの花も2日間にわたり役割が変わるため、受粉確率が低くなりがちです。しかし、複数の品種(A型とB型)を組み合わせて植えると受粉が進み、実がつきやすくなります。
初めて挑戦する方でも、しっかりと準備すれば家庭菜園でアボカドを育てる楽しみが広がりますよ。
家庭菜園向きの品種
家庭菜園向きの品種 | ||
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品種名 | 収穫時期 | 開花タイプ |
メキシコーラ / メキシコーラグランデ | 8月〜10月 | Aタイプ |
ウィンターメキシカン | 11月~12月 | Aタイプ |
ベーコン | 11月〜1月 | Bタイプ |
フェルテ | 11月〜1月 | Bタイプ |
エッティンガー | 11月〜12月 | Bタイプ |
ズタノ | 10月〜12月 | Bタイプ |
シモンズ | 10月〜11月 | Aタイプ |
カハルー | 12月〜1月 | Bタイプ |
サンミゲル | 12月〜2月 | Aタイプ |
メキシコーラ / メキシコーラグランデ
メキシコーラは、寒さに強い早生品種で、アボカドの風味が濃厚ながら油分はあっさりめ。つるんとした食感が魅力的な品種です。
果実は約100グラムと小ぶりで、収穫期を迎えると緑色から紫色に変化し、追熟すると全体が真っ黒になります。皮が非常に薄いので、むくときは包丁やピーラーを使うのがおすすめです。
耐寒性が高いため日本でも栽培しやすい品種で、旬の時期は8月下旬から10月頃です。
ウィンターメキシカン
ウィンターメキシカンは、メキシコ系と西インド諸島系の交雑種で、寒さに強いアボカド品種です。-5℃に耐える耐寒性があり、日本でも育てやすいアボカドです。
果実は約300グラムと小ぶりで、縦長の洋ナシ型。果皮は濃緑色で薄く、手で簡単に剥けます。果肉は滑らかで油分が多く、濃厚な風味とほのかな甘みが魅力です。
収穫時期は11月~12月頃で、冬に新鮮なアボカドを楽しめます。
ベーコン
ベーコンは、メキシコ系とグアテマラ系を掛け合わせた品種で、耐寒性が比較的高く、日本でも栽培が可能です。果実は丸みを帯びた形で、果皮は薄く滑らかで緑色。
熟しても果皮の色が変わらないため、ヘタ周辺の柔らかさで食べ頃を見極めます。味わいは、ほんのりとした甘みと滑らかな口当たりが特徴で、クリーミーさが魅力です。
旬の時期は11月〜1月頃。国内では愛媛県や和歌山県などで生産されていますが、流通量は少なく、見かける機会が限られるため、通販を利用するのもおすすめです。
フェルテ
フェルテは、メキシコ系とグアテマラ系を掛け合わせたアボカドで、なめらかな食感とコクのある味わいが特徴です。
ほんのりとした甘みとクリーミーな口当たりが魅力で、クセが少なく食べやすい品種です。果重は200~400グラムほどで、タネが小さく果肉が多いのもうれしいポイント。果皮は薄く、緑色のまま熟すため、軸周辺の柔らかさで食べ頃を見極めます。
旬の時期は11月〜1月頃にかけてで、愛媛県や沖縄県などで栽培されています。
エッティンガー
エッティンガーはイスラエルで育成され、その後アメリカに導入されたメキシコ系のアボカド品種です。果実は300~400グラムと大きく、果肉は滑らかで高品質。
濃厚な味わいながらクセが少なく、食べやすいのが特徴です。寒さに強く、-4℃程度まで耐えられるため、日本でも育てやすい品種です。
収穫時期は11月〜12月頃で、フェルテより少し早く収穫を迎えます。果皮は薄く、緑色を保ったまま熟すため、熟度の見極めには手で触れて柔らかさを確認するのがおすすめです。
ズタノ
ズタノはメキシコ系とグアテマラ系の交配種で、耐寒性と育てやすさを兼ね備えた品種です。果皮は滑らかな緑色で、薄くて剥きやすいのが特徴。
果肉はみずみずしく、油分は控えめながらもアボカド特有の風味がしっかり感じられます。クセが少なくさっぱりとした味わいで、サラダに入れたり、そのまま食べたりするのにぴったりです。熟しても皮の色が変わらないため、触感で熟度を判断する必要があります。
国内では10月〜12月頃に和歌山県などで収穫されますが、生産量が少なく希少な品種です。
シモンズ
シモンズは、西インド諸島系の品種で、500~800グラムにもなる大きな果実が特徴のアボカドです。緑色の果皮は光沢があり、たまご型の可愛らしい形状をしています。
油分は控えめながらも、食味は優れており、クリーミーでまろやかな味わいが楽しめます。着果性が良く、育てやすいことから家庭栽培にもおすすめです。
収穫期は10月〜11月頃です。
カハルー
カハルーは、グアテマラ系と西インド諸島系の交雑種としてハワイで広く栽培され、特にシェフたちから高い評価を得ているアボカド品種です。果実は350~500グラムの中大玉で、油分が多く、クセがなく濃厚な味わいが特徴。
果肉には豊かな香りがあり、サラダや料理に最適です。皮は薄く滑らかで剥きやすく、日持ちにも優れています。
旬は12月〜1月頃です。
サンミゲル
サンミゲルはハワイで多く栽培されるアボカドのA型品種で、雫型や洋梨型の美しい形が特徴です。果皮は緑色ですが、成熟期には実の付け根が赤紫色に変化し、追熟中には更に赤みを帯びたり黒色に近づくことがあります。果肉は非常に滑らかで、濃厚な味わいが魅力。クリーミーでコクのある食感は、一口でそのおいしさを実感できます。
収穫期は12月〜2月頃で、寒い季節に旬を迎えます。皮が薄く、手で剥けるものの、内側のザラザラが気になる場合はスプーンや包丁を使用するのがおすすめです。豊産性が高いですが、耐寒性は-1℃程度のため、東北や北海道では防寒対策が必須です。
大玉の品種
大玉の品種 | ||
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品種名 | 収穫時期 | 開花タイプ |
ポペーノ | 9月〜10月 | Aタイプ |
チョケテ | 12月~1月 | Aタイプ |
モンロー | 1月 | Bタイプ |
リンダ | 1月〜3月 | Aタイプ |
ロレッタ | 12月〜1月 | Bタイプ |
ミゲル | 9月〜11月 | Bタイプ |
リード | 4月〜6月 | Aタイプ |
ポペーノ
ポペーノはフロリダで生まれたアボカドの品種です。果実は450~1000グラムと非常に大きく、収量が多いのが特徴。
果肉はクリーミーで風味豊かで、濃厚ながらクセが少なく、サラダやディップなど幅広い料理に使いやすいのも魅力です。耐寒性はやや強く、育てやすいので、家庭でも安心して栽培が楽しめます。
収穫時期は9月〜10月です。
チョケテ
チョケテはグアテマラ系と西インド諸島系の交雑種で、600~1000グラムと非常に大きな果実をつける品種です。豊産性があり、実付きの良さが魅力。
果皮は濃緑色でやや厚め、果肉はクリーミーで濃厚な味わいととろけるような舌触りが特徴です。油分が適度に含まれ、甘みも感じられるため、サラダやスイーツにもぴったり。
収穫時期は12月〜1月頃です。
モンロー
モンローはグアテマラ系と西インド諸島系の交雑種で、500~900グラムの大玉が特徴的なアボカド品種です。果皮は濃い緑色で光沢があり、少しざらざらとした質感が特徴。皮はやや厚めですが、手で簡単に剥けるため扱いやすいです。
果肉は滑らかでフルーツのような甘みがあり、ミルクのようなコクも感じられます。比較的あっさりとした風味で、さっぱりと食べられるのが魅力です。
収穫時期は1月頃で、食べ頃になっても果皮の色が緑色を保つため、柔らかさやヘタの浮き具合で熟度を判断するのがおすすめです。耐寒性は0℃程度と中程度で、温暖な地域での栽培に向いています。
リンダ
リンダはハワイで人気の高いアボカド品種で、大きさが800グラムを超える大玉ながら種が小さく、実が多いのが魅力です。グアテマラ系でありながら、油分は控えめであっさりとした味わいが特徴。
別名ダイエットアボカドとも呼ばれ、クセが少なくクリーミーな食感が楽しめます。果皮は厚めで硬いですが、熟すと柔らかくなります。実を半分に切って種を取り、スプーンですくって食べるのがおすすめです。
収穫時期は1月〜3月頃で、冬から春にかけて旬を迎えます。
ロレッタ
ロレッタは、アメリカ・フロリダ州で育成された高級品種のアボカドです。果実は550~1000グラムの特大サイズで、細長い楕円形の美しい形が特徴。種が小さく、果肉部分がたっぷり楽しめます。果皮は濃緑色で滑らか、少し凹凸があり、見た目にも高級感があります。
油分が多く、クリーミーで濃厚な味わいが楽しめるため、サラダやディップにも最適。
収穫時期は12月〜1月ごろです。珍しい品種で、日本では流通が限られていますが、ネット通販で入手可能です。
ミゲル
ミゲルは、グアテマラ系と西インド諸島系の交雑種で、600~700グラムの大玉が特徴の豊産性アボカドです。果皮は濃い緑色で、熟すとやや黄緑色や部分的に茶色に変化します。
油分がしっかり感じられ、滑らかでクリーミーな食感と口当たりの良さが魅力的です。
旬の時期は9月中旬〜11月頃です。
リード
リードはアメリカ・カリフォルニア生まれの大玉アボカドで、ソフトボールのような丸い形が特徴です。果重は300~600グラムと大きく、果皮は濃い緑色で厚みがありますが、熟しても色が変わらないため食べ頃の見極めには少し注意が必要です。
果肉は滑らかで濃厚な味わいがあり、ほんのりとした甘みとクリーミーな食感が魅力。リードは比較的保存性も良いですが、完熟後は早めに食べるのがおすすめです。
国内産のリードは主に4月から6月頃に鹿児島県などで収穫されます。アメリカ産のものは夏から秋が旬です。
濃厚な味わいの品種
濃厚な味わいの品種 | ||
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品種名 | 収穫時期 | 開花タイプ |
ハス | 12月〜4月 | Aタイプ |
スチュワート | 10月~12月 | Aタイプ |
シャーウィル | 11月〜2月 | Bタイプ |
マラマ | 11月〜1月 | Bタイプ |
ピンカートン | 12月〜1月 | Aタイプ |
ハス
ハスは、日本市場で最も流通している品種です。濃厚でコク深い味わいに加え、育てやすさや保存性の高さが特長。果皮は暗緑色で、熟すと黒紫色に変化し、150~200グラム程度の食べ応えある果実が実ります。
旬の時期は12月〜翌年4月中旬と長く、家庭栽培でもおいしい完熟アボカドが楽しめます。特にA型品種のため、混植すると実つきが更に良くなり、ベーコンやフェルテなどとの組み合わせがおすすめです。
スチュワート
スチュワートは洋ナシ型のアボカドで、果皮が濃い紫色になる美しい品種です。果実の重さは170~360グラムと程良いサイズで、果肉は鮮やかな緑黄色が特徴。
ナッツの香りがあり、油分は多めで、濃厚でクリーミーな味わいが楽しめます。そのため、サラダやディップなど、さまざまな料理にぴったりのアボカドです。また、耐寒性がやや強く、日本でも育てやすい点が魅力的です。
収穫時期は10月〜12月です。
シャーウィル
シャーウィルはオーストラリアで育成され、ハワイで多く栽培されているアボカド品種です。果実は西洋ナシ形で280~560グラムと中型、種が小さく実が多いのが特徴です。
油分が20~24%と多く、クリーミーで濃厚な味わいが楽しめます。クセが少なく食べやすいので、アボカド初心者から愛好者まで幅広く人気です。果皮は厚めで緑色を保ち、食べ頃になっても大きな変化がないため、柔らかさで熟度を見極めるのがおすすめ。
旬の時期は11月〜2月頃です。
マラマ
マラマはハワイ生まれのアボカド品種で、滑らかな果皮が特徴です。成熟すると果皮は濃い紫色から黒色に変わり、食べごろを迎えます。果実は500~700グラムと大玉で、クリーミーな食感とナッツのような香りが特長的です。油分は20%以上と豊富で、濃厚でねっとりとした口当たりが魅力的です。手で皮を剥くことも可能ですが、ザラザラ感が気になる場合はスプーンや包丁で丁寧に剥くと良いでしょう。
収穫期は11月下旬〜1月頃で、冬の時期に旬を迎えます。自家結実性は低いため、受粉樹としてハスやメキシコーラなどのAタイプ品種と一緒に栽培すると実付きが良くなります。耐寒性は0℃程度とやや弱いため、東北や北海道では防寒対策が必要です。
ピンカートン
ピンカートンはカリフォルニア生まれのアボカドで、細長い洋ナシ型の形が特徴です。果実は300~500グラムとやや大きめで、皮は厚く、緑色でゴツゴツとした質感があり、熟しても色は変わりません。油分が多く濃厚な味わいで、タネが小さいため可食部が多いのも魅力です。日持ちが良いので保存性にも優れています。
収穫期は12月上旬〜1月上旬頃。追熟に20~30日かかり、全体が柔らかくなるまで時間差が生じることもあります。国内では愛媛県などで栽培されていますが、流通量は少なく希少です。
まとめ
アボカドは、栄養豊富でクリーミーな味わいが魅力の果物。世界中で多様な品種が栽培されており、耐寒性や大きさ、風味などが異なり、それぞれ個性豊かです。家庭菜園に挑戦するなら、メキシコーラやウィンターメキシカンなどの品種がおすすめ。栽培には排水性の良い土壌と日陰がポイントで、接ぎ木苗を使えば初心者でも実をつけやすくなります。旬や栽培のコツを押さえて、アボカド栽培を楽しみましょう。