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竹で作るコンポストビンで、自家製堆肥を作ろう

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有機物を積み上げて堆肥にする

庭のコンポストビン(Compost bin)を新調することにした。コンポストビンとは堆肥箱のことだ。一般的にはコンポストと言うことが多いが、コンポストとは堆肥のことで、堆肥箱や堆肥処理機はコンポストビン、またはコンポスターというのが正確だ。
今、わが家には3つのコンポストビンがある。1つはツーバイ材(※1)でDIYした1辺60センチの木製コンポストビンだ。

※1 ツーバイフォー工法といわれる建築用に規格化された輸入材。DIYでも多用され、ホームセンターで最もポピュラーな木材。

木製コンポストビン。庭や畑があれば、生ゴミはコンポストビンで堆肥にするべきだ

母屋のすぐ裏に置いてあり、主に料理の際に出る生ゴミを入れている。生ゴミといってもほとんどは野菜の皮やヘタで、1日で出る量は約1リットル。重さにして500グラム~1キロくらいだろう。その90パーセント以上は水分である。毎日コンポストビンに入れ続けても決して箱がいっぱいになることはない。ただし、冬になって気温が低くなると微生物の活動が鈍化して、ちょっとずつかさが増えてくる。そうなったら、畑のコンポストビンに中身を移してさらに分解を進める。
畑には2つのコンポストビンがある。2つとも丸太を製材するときに出る端材で作ったもので、大きさは幅と奥行きが約2メートル、高さが約60センチ。ここには、夏の草や庭木の落ち葉や収穫したあとの野菜の残渣を積み上げている。

丸太を製材する際に出る端材(製材所から格安で譲ってもらった)で作ったコンポストビン。材料はタダ

なぜ、2つのコンポストビンが必要かというと、これらの有機物を分解させて堆肥として熟成させるためには、1~2年を要するからである。2つのコンポストビンに毎年交互に有機物を積み上げ、1年以上熟成させてから畑に施用する。その1つが傷んできたので、今回作り直すことにしたのだ。

竹の種類の見分け方

これから作るコンポストビンの材料は竹だ。近年、放置竹林が問題になっているが、わが家の周りにも管理されなくなって荒廃した竹林があちらこちらにあり、地主に話をしてそこの竹を自由に使わせてもらっている。つまり、材料はタダだ(←これ、大事なところ)。
その竹林に生えているのはマダケだ。モウソウチク、ハチクと並ぶ「日本三大有用竹」のひとつで、日本の竹林のほとんどはこの3種類の竹で占められている。それぞれ次のような特徴があり、知っていると簡単に見分けられる。

モウソウチク
日本最大級の竹で直径20センチ、長さは20メートルを超える。節の輪は1つで節間は比較的短く25~30センチ。材質は肉厚で、弾力は乏しい。一般に出回るタケノコは、モウソウチクのもの。

モウソウチク。節間が短く、節の輪は1つ

マダケ
直径10~15センチ、高さは10~20メートルになる大型の竹。節には輪が2つあり、節間は長く、30~45センチ。強靭(きょうじん)さと弾力性をあわせ持ち、モウソウチクに比べて肉薄のため加工しやすい。古くから工芸や建築材に広く利用されている。

マダケ。節間が長く節の輪は2重になっている

ハチク
直径3~10センチ、高さ15メートル。節には輪が2つあり、節間は30~35センチ。マダケに似ているが、稈(かん、樹木の幹にあたる部分)の表面が粉をふいているように白っぽく見えるのが特徴。また枝を切ると、マダケは中空になっているのに対し、ハチクは空洞がなく詰まっている。モウソウチクやマダケに比べると竹林の割合は少ないが、耐寒性が高く、比較的冬の気温が低いところでも見られる。

以上、竹の見分け方として参考までに。

コンポストビンの作り方

今回はコンポストビンを作り直すため、古くなって傷んだコンポストビンから、1年以上熟成させた堆肥をシャベルで取り出してふるいにかけた。夏草や落ち葉や野菜の残渣はおおむね分解しているが、トウモロコシの茎や小枝やクリのイガなど、炭素分の多い硬い有機物はまだ形が残っている。それらはもうひとつのコンポストビンに戻し、もう1年かけて分解を進める。
中の堆肥を全部取り出したら、傷んだコンポストビンは解体して細かく切り分け、薪(まき)ストーブのたき付けにする。家庭菜園愛好家にとって生ゴミや野菜の残渣が堆肥の材料になるように、薪ストーブ愛好家にとって木材は、最後は燃料になる。

解体したコンポストビンの木材。庭や畑で燃やして木灰としてもよい。ゴミの焼却は法律で禁じられているが、軽微なたき火や農業を営むために必要とされる野焼きは禁止されていない。木材はゴミではなく燃料であり、肥料となる木灰の原料である

地縄を張る

さて、ここからが竹を使った新しいコンポストビン作り。地面を平らにならし、コンポストビンを設置する場所に地縄を張る。地縄とはひもやロープで建物などの位置を地面に示すことだが、このときコーナーの直角をきちんと出すことが大切だ。何もない地面に直角を描くには、三平方の定理を使えばよい。3つの辺の比が3:4:5であれば直角三角形になるという法則だ。つまり、最初に基準となる“3”の直線をひとつ決め、その両端を起点に“4”と“5”の直線を引いて交点を出せば(ひもを使うとやりやすい)、3と4の交点が直角になる。

地縄張り

手元に3×6(サブロク)合板(※2)など四つ角が直角の板があれば、それを地面に置いて地縄のガイドとしてもよい。

※2 3×6尺(910×1820ミリ)の合板のこと。

コンポストビンのような小さな構造物であれば、地面にサブロク合板を置いて、その辺を延長してもよい

竹を切る

地縄を張ったら、次にコンポストビンの壁を作るための竹を切る。
今回作るコンポストビンのサイズは幅約2メートル、奥行き約1.2メートル、高さ約80センチとした。
そのため背面の壁用には、直径10センチ前後の竹を8本、約2メートルの長さで切る。両側面の壁用には約1.2メートルで16本。その際、なるべく両端に節を残すようにすると丈夫だ(節止め)。刃が細かくて薄い竹用のノコギリを使い、竹を回しながら切ると切断面にささくれが立ちにくい。

節を残して切る。手を添えているほうが使用する部分

竹を割る

壁を支える杭には割り竹を使う。竹を割るには竹割り器が便利。

鋳物製の竹割り器。竹を均等に6等分できる

杭用の竹は約1.2メートルの長さに切り、硬い地面に末口(※3)を上にして立て、竹割り器を当てて刃を食い込ませる。ハンドルを両手で持って一気に押し下げると、きれいに等分される。ナタを使って割る場合は両刃の竹割りナタを使い(片刃だとまっすぐ割れない)、末口に刃を入れて、ナタを押し下げていけばよい。一節ごとに竹を180度回転させるときれいに半割りできる。この割り竹は杭として使うので、片側の先端をナタでとがらせておくと地面に挿しやすい。これを18本作っておく。

※3 先端側の切り口。根元側は元口という。

ハンドルを力いっぱい押し下げるか、切り口に食い込んだ竹割り器ごと竹を持ち上げて軽く地面にたたきつけながら割り広げる

割った竹は節をカナヅチでたたいて落としておく

背面の壁を作る

約2メートルに切った竹を地縄に沿って置き、両端から約15センチの場所に、その竹を表と裏から挟むように割り竹を地面に挿す。表と裏の割り竹は、地縄に沿って置いた竹の上で、シュロ縄できつく結ぶ。

割り竹は地面に30センチ以上の深さで挿す。割り竹の代わりに直径2~3センチの細い竹を杭にしてもよい

シュロ縄は竹垣などにも使われ、腐りにくくて丈夫。使う前に水につけて軟らかくしておくと結びやすい。乾くと結び目がきつく締まる

割り竹の間に竹を積み上げていく。4本積んだら改めて表と裏の割り竹をシュロ縄で結び、その上にさらに竹を積んでいく。

突き出した割り竹は最後に切りそろえるので、この段階で長さがそろっていなくても気にしなくてよい

側面と正面の壁を作る

両側の側面の壁も同じように地縄に沿って約1.2メートルに切った竹を1本置き、その両端の表と裏に割り竹を挿して竹を積んでいく。

割り竹を地面に挿すときは、エッジで手を切りやすいので必ずグローブをして作業すること

正面の壁は両側面の壁の間に収まるようにするため、長さは約1.8メートル。高さは約40センチにして、刈り取った草などを入れやすくした。最後に、上に突き出した杭をきれいに切りそろえたら完成。

1本の竹をなるべく無駄なく使えるように、正面の壁には先端のほうの細い部分を使った

このコンポストビンは11月の終わりに完成した。庭のヤマボウシはすっかり落葉してしまったが、モミジは今が紅葉のピークだ。今年は、秋になっても気温が高い日が続き、クリやコナラはまだ完全には葉を落としていない。よかった。間に合った。これらの木々の落ち葉を、この完成したばかりのコンポストビンに積み上げるのだ。今週末に収穫する予定のダイズのさやと枝葉も入れておこう。これは栄養満点のいい堆肥になる。薪ストーブの灰を入れてもいい。リンやカリが供給できる。
夏になったら、刈った草をじゃんじゃん積み上げて、野菜を収穫したあとに残る残渣もここへ。それから丸1年ゆっくり熟成させれば、極上の堆肥ができあがる。そして、その堆肥を畑に施すことで、土壌に栄養が供給され、無数の小さな生き物たちが育まれ、その活動によって、また野菜が育つのだ。コンポストビンがあることで、わが家の畑に完璧な循環システムが作られるのである。

畑で野菜を育てるなら、種をまく前にまず作るべきはコンポストビンだ


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