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ハモグリバエ(エカキムシ)とは? 特徴から防除方法まで、農家が詳しく解説

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ハモグリバエの生態と特徴

ハモグリバエ(エカキムシ)は、全世界で約2500種が確認されているハエの仲間で、その幼虫は植物の葉の内部に潜り込み、組織を食害することで農作物に大きな被害を与える農業害虫として知られています。日本では1990年代から被害が報告されており、特に葉物野菜や果実の品質を低下させる問題として注目されています。

国内でもよく見られる種類には、トマトハモグリバエ・マメハモグリバエ・ネギハモグリバエ・テンサイモグリハナバエがおり、いずれも幼虫は体長1~2ミリほどで、成虫になってもさほど大きさは変わりません。

幼虫は葉に潜り込んで、幅0.5~2ミリの白い筋を描きながら食害します。この様子が絵を描いているように見えることから、エカキムシと呼ばれることもあります。
また成虫は産卵や水分補給のために葉に産卵管を刺し込み、染み出た汁を舐めます。このとき、直径1ミリ以下の丸い白点ができます。

ハモグリバエの食害痕

ハモグリバエが生息している場所

ハモグリバエは日本全域に生息しています。
作物の葉に卵を産み付けるため、定期的に観察してハモグリバエが繁殖していないか確認するようにしましょう。

ハモグリバエが発生しやすい時期

ハモグリバエの発生回数は種類や気温によって異なり、春から秋にかけて数回(3~11月)発生します。種類によって発生が多い時期が異なり、例えば、トマトやエンドウに被害を与える種類は、5~6月頃の生育期に発生が目立ちます。また、キュウリやカボチャでは7~8月頃に被害が多く見られます。更に、ミカンハモグリガは6~10月にかけて発生し、暖かい地域では8回以上発生することもあります。

ハモグリバエが発生しやすい作物を種類別に紹介

ハモグリバエが発生しやすい作物を、ハモグリバエの種類ごとに紹介します。

トマトハモグリバエ

トマトハモグリバエは、名前の通りトマトに寄生する他、その他ナス科野菜、ウリ科、マメ科、アブラナ科などいろいろな作物に発生します。もともと中南米原産の害虫で、日本では1999年に初めて確認された比較的新しい害虫です。
主に葉を食害し、果実への被害はありませんが、大量に寄生されると株が枯れてしまうこともあり注意が必要です。

マメハモグリバエ

マメハモグリバエは北アメリカ原産の害虫ですが、1970年代以降、世界各地に広く分布するようになりました。日本では1990年6月頃に大発生し、大きな被害をもたらしました。

マメハモグリバエは非常に幅広い植物に寄生することで知られ、特にマメ科、セリ科、キク科の植物を好みます。寄生先の植物には、ダイズ、エンドウ、トマト、ナス、ジャガイモ、メロン、キュウリ、セロリ、ニンジン、キク、ガーベラなどがあり、キク科の雑草にも寄生します。

ネギハモグリバエ

ネギハモグリバエは主にタマネギやニンニクなど、ネギ類に好んで寄生する害虫です。
幼虫は葉の内部を食害し、その跡が幅1~3ミリの白い筋として残ります。発生が多い場合、この白い筋がつながり、葉全体が白っぽく見えることもあります。また、成虫が産卵や水分補給のために葉に産卵管を差し込んだ跡は、直径1ミリの小さな白い点となり、一列に並ぶ特徴があります。

テンサイモグリハナバエ

テンサイモグリハナバエは、てん菜に寄生する害虫です。てん菜の栽培が北海道で盛んなことから、北海道でよく見られます。

被害例としては、幼虫が葉の内部に潜り込み、葉肉を食害します。初めは細い曲線状の食害跡を残しますが、次第に幅が広がり、最終的には袋状の大きな食害跡となります。初めは白っぽい食害跡ですが、やがて褐色に変化し、葉が枯れる原因となります。

ハモグリバエの防除におすすめの殺虫剤・農薬

ハモグリバエの防除で使うことのできる農薬をいくつか紹介します。

ピュアベニカ

有効成分が100%食酢由来なので、体や環境への負荷なく使うことができます。あらゆる作物のハモグリバエ予防の他、ナメクジやハスモンヨトウの食害を抑える効果、モンシロチョウの産卵忌避効果もあります。
自然由来の成分なので、水で流されやすかったり、2~3日に一度散布しなくてはなりませんが、安全な農薬を使いたい人にぴったりです。
>>詳細はこちら

アファーム乳剤

サヤインゲン・キュウリ・メロン・トマト・ナス・セロリ・ネギなど幅広い作物のハモグリバエ防除に使うことのできる薬剤です。
速効性がよく、作物に長く残らないため、収穫前日や数日前まで使うことができます。
>>詳細はこちら

トリガード液剤

トマト・ナス・シュンギク・メロンなど、さまざまな作物のハモグリバエ防除に使うことのできる薬剤です。
ハモグリバエをはじめとしたハエ目害虫に効果が高いほか、ハチなどの天敵への影響が弱いのが特徴です。
>>詳細はこちら

マラソン乳剤

ネギ類・マメ類などのハモグリバエ防除に使うことのできる薬剤です。浸透移行性があるので、直接害虫に薬剤がかからなくても効果を発揮します。
>>詳細はこちら

殺虫剤や農薬を使わずにハモグリバエを駆除する方法

薬剤を使わずにハモグリバエを駆除するには、地道に手で潰したり、葉っぱを取り除いていく他ありません。
作物の葉を観察し、ハモグリバエ幼虫による白っぽい食害跡を見つけたら、跡をたどって幼虫を探しましょう。幼虫を見つけたら指で潰してしまいます。ただ、幼虫や卵は小さく肉眼では見つけづらいため、食害跡を発見したら葉っぱごと取り除いてしまうのが確実です。

このやり方はハモグリバエ発生初期の段階ではある程度有効ですが、株全体に広がってしまってからでは効果がありません。なるべく初期段階で対処ができるよう、日々観察するようにしましょう。

ハモグリバエを抑制するために気を付けること

一番大切なのは、健康な苗を植え付けることです。初めからハモグリバエに寄生されている苗を植え付けてしまっては、予防も何もありません。苗を購入する際や、育てたものを植え付ける際は、青々として病斑や食害痕のないものを選びましょう。

また、種まき・植え付け直後から寒冷紗や防虫ネットをかけて、外から害虫が入ってこれないようにすることも大切です。網目は細かい方が幅広い害虫の侵入を防いでくれますが、あまり細かいとネット内の風通しが悪くなり、高温障害が起きることがあります。春先や夏場などは注意して使いましょう。

まとめ

ハモグリバエは葉を食害し、じわじわと作物の体力を奪っていく厄介な害虫です。果実を直接食害することはないため、家庭菜園では絶対に駆除しきらないといけないというわけではありませんが、放っておくと他の病気や害虫を呼び寄せるきっかけになってしまいます。

防虫ネットを使ったり、農薬を使うことでしっかりと予防・駆除できるので、ぜひ本記事を参考にしてハモグリバエの防除を行ってみてください。


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