ネギを使った季節の特別メニュー
キリン一番搾りなどのビールを楽しめるビアレストラン「キリンシティ」で、この冬「やわとろネギ」を使った季節の特別メニューが展開されています。「やわとろネギと小海老のマリネ」「やわとろネギとしらすのソテー」は、ネギの甘みやうま味が楽しめる逸品です。
やわとろネギとは、ねぎびとカンパニーが手掛けるブランドネギの一つ。同社はミシュランの星付きレストランにも卸すなど、品質の良さは折り紙つきです。
「市場を通して販売されるネギは、形により評価されます。ですが、私たちのコンセプトは味。やわとろネギは名前のとおり、やわらかくとろっとしているネギです。zeroの中でも、一番売れているブランドです」と話すのは同社の代表取締役、清水寅(しみず・つよし)さん。有機JAS認定肥料と90種類以上のミネラルで栽培するなど、味へのあくなき追求が生んだブランドネギです。
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特別メニュー「やわとろネギとしらすのソテー」しらすとからすみの塩気が甘さを引き立てる
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「やわとろネギと小海老のマリネ」はビールにも合いそうだ
栽培・出荷に手を抜かない
取材による縁をきっかけにマイナビ農業が飲食店へネギを紹介し、季節の特別メニューが実現しました。
zeroに所属する河口農園の河口武史(かわぐち・たけし)さんは次のように話します。
「マイナビ農業さんからネギの話を聞いて、キリンシティの担当者様がすぐに茨城のほ場まで来てくださいました。私たちのネギと一般的なネギを食べ比べていただいたり、農家や作物を理解しようという気持ちが嬉しかったですね」
多くの生産者が所属するzero。清水さんはその中でも、「飲食店が好きで、出荷したい」という組合員の河口さんのネギを選んだそう。
「生産者の中にも『飲食店に出したい』『どのお店のメニューになるんですか?』と積極的に聞いてくる人と、そこに関心がない人とさまざまです。飲食店への出荷は、特有の手間がかかります。やはり、やりたい人に作ってもらうのが一番です」(清水さん)
飲食店向けに出荷するやわとろネギには、栽培の後半にステビアを施肥しているそう。そのため、より甘味を感じられるようになっています。
また、出荷の際にはネギを1本ずつ磨き、さらに緩衝材も詰めます。「飲食店からはそこまで求められていませんし、施肥も梱包も作業工程が増えるので完全に赤字です。でも飲食店の方がダンボールを開けた時に喜んでもらったり、食べて感動して欲しいじゃないですか。もう自己満足の域です」と河口さんは笑います。
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清水寅さん(写真左)の経営姿勢やノウハウに衝撃を受け、自身の経営も変わったという河口武史さん(写真右)
“声が聞こえる”喜び
今回の取り組みは、組合全体の活動のモチベーション向上にもつながると期待する清水さんと河口さん。
「やはり市場へ出荷すると、どうしても味では評価されない。足りていなければ高く買われて、多ければ安くなる。いいものを作っても、流通されたその先の声も聞こえない。それが飲食店への出荷だと、直接的に声が聞こえますよね」(河口さん)
飲食店への出荷など精力的な活動から、組合の拡大にもつなげたいそう。河口さんは、「zeroの繋がりは強いです。たとえば茨城では育苗に90日程度かかっていたのが、栃木の組合員から教えてもらった方法を試したら10日ほど短くなった。仲間だからこそ、栽培技術も惜しみなく教え合います。また、清水さんと一緒にいることで経営の底上げもできます。個人経営で完結していた時は、自分の経営が良いのか悪いのか、その基準も分かりませんでした」と、組合のメリットを話します。
高いモチベーションで品質の良いものを出荷する出荷組合zero。今後さらなる拡大に期待が膨らみます。
キリンシティ染谷恵二さん
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甘味とうま味が凝縮したこだわりの「やわとろネギ」
編集協力:三坂輝プロダクション