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ニームオイルの効果とは?家庭菜園愛好家が実際に作って活用してみた

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ニームとはどのような素材?

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ニームオイルの原料となる「ニーム」は、インドなどに自生している樹木です。インドではアーユルヴェーダのハーブとして親しまれて、欧米においてもせっけんをはじめ歯磨き粉、シャンプー、化粧品など、肌や髪の健康・美容を支える素材として活用されています。

農業分野では、イナゴ被害に遭った地域でなぜかニームの木が被害を受け無かったことから注目されるようになりました。

ニームに含まれる「アザディラクチン」について

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ニームには「アザディラクチン」という苦味成分が樹木全体に含まれています。このアザディラクチンには、虫への忌避効果があります。即効性はありませんが昆虫の孵化を妨ぐ、成虫の食欲を減退させる、変態を防ぐなどの効果が期待できます。
また、ニームを土壌にまくことで、センチュウの駆除や土壌改良効果なども期待できます。

ニームには独特の臭いがある

ニームオイルの扱いで少し注意が必要なのが、独特の匂いです。アジアの街角の香りとも形容されます。その独特な香りのため、以前はハウス栽培での使用が避けられてきましたが、近年ではレモングラスを加えたニームオイルも販売されるなど活用が進んでいます。

レモングラスには殺菌効果もあるため、害虫対策に加えて抗菌作用も期待できます。

ニームオイルの使用で期待できる効果

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ニームオイルを農業分野に用いることで、期待できる2つの効果をご紹介します。

害虫の防除

ハダニ、アブラムシ、コガネムシ、バッタなどの害虫の防除に効果があり、幼虫の孵化だけでなく害虫の食欲を減退させます。ニームオイルを抽出した絞りかすからできた「ニームケーキ」を使えばナメクジやネキリムシにも効果があります。

土壌環境の改良

ニームは土壌改良効果も期待できます。土中にニームケーキを施肥することで病菌やセンチュウなど土壌害虫が発生しにくい環境が生まれ、有機微生物も増えて根が生育しやすい環境を作り出せます。ニームの活用が盛んなインドでは、田んぼにニームをすき込む文化があります。

ニームオイルの正しい使い方

防虫をはじめ多彩な効果が期待できるニームオイル。正しい使い方を守ることが大切です。販売されているニームオイルは原液が多いため、300〜500倍に希釈して使用するのが一般的です。

葉面散布

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希釈水を定期的に作物に散布し、害虫が寄り付きにくくする葉面散布。ニームオイルの効果が持続する期間は5〜7日のため、1週間に1度を目安に散布します。夏場など害虫が発生しやすい時期には3〜4日に1度の頻度で行いましょう。

土壌潅注

ニームオイルを土に掛けることで、土壌中の有害な微生物や害虫を抑える効果があります。土壌潅注で使用する場合には、10アール当たりニームオイルの原液200~300ccを100~150Lの水に希釈して流します。

煙霧機を利用

ハウス栽培では、ニームオイルが細かな粒子になって隅々まで行きわたる煙霧機の利用がおすすめ。独特の臭いが気になる場合はレモングラス配合のニームオイルを使いましょう。

ペットボトルを利用

ペットボトルを用いた散布方法もあります。半分に切ったペットボトルをハウス内にぶらさげて並べ、濃いめに調整した希釈オイルをためておきます。蒸発によってニームの成分が拡散します。作業量が少なく、効果も得やすい方法です。

いつ使うのが良い?

季節や環境によって散布の目安は異なりますが、1週間に1度のペースがおすすめです。
日中の高温時散布は作物に傷害が出る恐れがあるため、朝か夕方の涼しい時間帯に散布します。

ニームオイルスプレーの作り方と使い方

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天然素材のニームオイルを使えば、ハダニ・アブラムシ・コガネムシ・バッタ・モンシロチョウなど害虫防除を気軽に、そして安心に行えます。ニームオイル原液を用いたニームオイルスプレーの作り方と使い方を紹介します。

用意するもの

・ニームオイル:0.15g
・水:300ml
・中性洗剤:1滴
・スプレーボトル

スプレーの作り方

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ニームオイルスプレーに必要なのはニームオイルと水だけですが、それだけでは混ざりにくいので界面活性剤(中性洗剤)を1滴だけ加えます。食器洗い用の洗剤で構いません。作ったニームオイルスプレーは冷暗所で保管して1週間以内に使い切りましょう。

ベランダ菜園で実際に使ってみた

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ニームオイルスプレーを自作し、実際に使ってみた感想や扱う上での注意点などをご紹介します。

ニームオイルを使う時の注意点

害虫の防除をサポートしてくれるニームオイルですが、使用で注意すべき点やデメリットも存在します。ニームオイルを扱う時の注意点をいくつかお伝えします。

臭いが独特

「ニンニクとタマネギを発酵させたような匂い」と形容されることもあるニームオイル。使用すると近隣にまで臭いが広がる恐れがあるため、レモングラスなどが配合されているものを使うのがおすすめです。

必ず希釈する

原液のまま与えると農作物にダメージを与える可能性があるため、製品ごとに推奨されている希釈率で必ず使用してください。また、お湯などの高温で希釈すると成分が飛んでしまう可能性があるため、水で希釈します。

即効性はない

化学肥料のような即効性はありません。また、あくまで害虫の防除目的で用いるスプレーです。害虫が出てからでは、その効果を上手に発揮してくれません。

定期的に散布する

ニームオイルの効果が持続する期間は5〜7日です。効果が切れる前に定期的に散布することで効果が期待できます。

蒸発する前に注ぎ足す

ペットボトルを設置する場合は蒸発にご注意ください。ペットボトルにためた希釈水が無くなると効果も無くなってしまいます。こまめに中身を確認し、無くなる前に注ぎ足しましょう。

冬に使う際のポイント

気温が下がるとオイルが固まりやすくなります。お湯で温めれば通常通り使用できますが、熱湯での希釈はおすすめしません。

ニームオイルはどこで販売されている?

ニームオイルを配合した園芸用品はホームセンターで入手できます。ニームオイル単体で販売されているケースは意外と少ないため、Amazonなどの通販サイトを利用するのが良いでしょう。

ニームオイルの活用で、安心安全の農業・家庭菜園を

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化成品に頼らず、天然の成分だけで害虫対策を行えるニームオイル。インターネット通販でオイルもすぐ入手できますし、気になっていた匂いも、レモンバーム入りの製品ならアジア系のスパイシーな香りはするものの不快な匂いは感じず、むしろ良い香りだと感じました。葉面散布はもちろん、根まで強くしてくれるのが心強いですね。
効果が長続きするものでは無いため1週間に1度のペースで散布が必要ですが、農作業のルーティーンに組み込んで習慣化すればそれほど大変では無さそうです。大規模ハウスでも煙霧機を活用すれば隅々まで効果が期待できます。
インドでは「奇跡の木」とよばれることもあるニームオイルの活用で、安心安全の農業や家庭菜園ライフを送ってくださいね。


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