もともと農業に興味なかった
相沢さんは現在45歳。妻の父親と一緒に野菜を育てている。畑は住宅街の中にあり、面積は2ヘクタール強。以前はニンジンとホウレンソウが中心だったが、相沢さんが加わったのを機に品目を大きく増やした。
もともと都内にあるキャノンのグループ会社に勤めていた。結婚するとき、「農業を継ぐ気ある?」と妻に聞かれたが、当時の答えは「やめておく」。農作業をやったことがなく、農業にまったく興味を持っていなかったからだ。
仕事は充実していた。コピーや印刷など多様な機能を持つ複合機のソフトウエアの開発で、プロジェクトのリーダーを務め、42個の特許を所得することに成功した。新しいことへの挑戦が仕事の励みになっていた。
それでも会社をやめるのを決めた背景の一つに、実父の影響がある。相沢さんも朝霞市の出身で、父親は市議や県議を務めていた。地元のために働く姿を見てきた相沢さんは、「自分も何かできないか」と思うようになっていた。
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