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テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ・オオニジュウヤホシテントウ)とは? 特徴や発生しやすい時期、防除方法まで、農家が詳しく解説

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テントウムシダマシの生態と特徴

テントウムシダマシは、「ニジュウヤホシテントウ」と「オオニジュウヤホシテントウ」の通称で、テントウムシダマシ科の虫ではなく、マダラテントウ類の仲間です。
一般的なテントウムシがアブラムシを食べる益虫であるのに対し、テントウムシダマシは草食性で、ナス科の野菜や草花を食べる害虫です。幼虫も成虫も、葉裏から表面を削るようにして食害をするので、被害が進むと葉が波打った水面のように見えます。この状態になると光合成をする力が落ちてしまうので、収穫量が下がったり、枯れてしまったりします。

一見するとテントウムシのように見えますが、テントウムシと違って背中には28個の黒い斑点があり、細かい毛が生えているので光沢がなく、体色はオレンジ色です。一方でテントウムシは光沢があり、種類によって異なりますが、斑点の数はそれほど多くありません。

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益虫のナナホシテントウ。テントウムシダマシと違い、光沢がある

テントウムシダマシが生息している場所

テントウムシダマシは、地域によって生息している種類が異なります。
関東以西にはニジュウヤホシテントウが、関東以北にはオオニジュウヤホシテントウが生息しています。

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オオニジュウヤホシテントウ

テントウムシダマシが発生しやすい時期

テントウムシダマシは、4月から10月頃にかけて年に1~3回発生します。冬の間は成虫の状態で、落ち葉の下や植物の株元、更には人家の屋根裏などで越冬します。そして、春になると宿主植物の芽吹きに合わせて活動を再開し、4月頃からジャガイモなどの植物に寄生して食害を始めます。

越冬した成虫はおよそ40~50日間生存し、その間に卵を産みながら繁殖します。このとき雌は一度に20~30個の黄色い卵を葉の裏にまとめて産みます。
成虫による食害は6~7月にかけて増加し、農作物に大きな被害を与えるため、発生時期を把握し、早めの対策を取ることが重要です。

テントウムシダマシの種類を分かりやすく紹介

テントウムシダマシには、関東以西に生息するニジュウヤホシテントウと、関東以北に生息するオオニジュウヤホシテントウの2種類がいます。
どちらも体表がオレンジ色で、背中には28個の黒い斑点があるというのが特徴ですが、いくつか異なる生態を持っています。

ニジュウヤホシテントウは体長が6~7ミリメートルほどで、年に2~3回世代交代を行います。

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産卵するニジュウヤホシテントウ

一方、オオニジュウヤホシテントウは体長が8ミリメートルとニジュウヤホシテントウより少し大きく、年に1回しか産卵しないため、ニジュウヤホシテントウより発生数は少ないです。

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オオニジュウヤホシテントウの卵

テントウムシダマシの駆除におすすめの殺虫剤・農薬

テントウムシダマシを駆除できる殺虫剤や農薬はたくさんありますが、その中でも入手しやすいものや、使いやすいもの、農業の現場でも使われているものをいくつか紹介します。
殺虫剤や農薬はホームセンターや園芸用品店、JAの資材センターなどで入手できます。

パイベニカVスプレー

植物生まれの天然素材だけで作られたスプレータイプの薬剤です。有機栽培でも使うことができる他、家庭菜園などでも使いやすいのが特徴です。
ナスのテントウムシダマシ防除や、アブラムシやハダニ、コナジラミなどの害虫駆除にも使うことができます。
>>詳細はこちら

ベニカVフレッシュスプレー

テントウムシダマシの他、アブラムシやハダニ、アオムシの防除に使うことができるスプレータイプの薬剤です。
害虫防除だけではなく、うどんこ病などの病気の予防や治療に使うことができるのも特徴です。
>>詳細はこちら

アディオン乳剤

アディオン乳剤は優れた残効性と忌避作用が特徴の薬剤です。有効成分が素早く害虫に浸透し、駆除効果を発揮します。
ジャガイモやナスのテントウムシダマシ防除に使うことができます。
>>詳細はこちら

スミチオン乳剤

スミチオン乳剤は、害虫が薬剤に接触したり、薬剤の付着した植物を食べることで効果を発揮する農薬です。
植物の中に入り込んだ害虫にも効果があるので、葉の中に潜り込んだテントウムシダマシの幼虫の防除にも使えます。
>>詳細はこちら

殺虫剤や農薬を使わずにテントウムシダマシを駆除する方法

薬剤を使わずにテントウムシダマシを駆除したい場合は、基本的に手で捕殺することになります。

手で捕殺するやり方

テントウムシダマシの卵や幼虫は、葉裏に密集していることが多いです。そういったときは、寄生されている葉ごとハサミや手で取り除いてしまうか、粘着力が弱い養生テープなどを使って一気に取ってしまいましょう。

また、成虫は触れられたり、揺すられたりなど、外部からの刺激を受けると固まって地面に落ちてしまいます。あらかじめ株元に新聞紙や細い目の網などを設置することで、逃がすことなく捕まえることができます。
栽培時期や作物によってはマルチングをしておくことも効果的です。

お酢や米ぬかは駆除に使える?

テントウムシダマシの駆除にお酢や米ぬかが使えるのか気になっている人も多いでしょう。結論から言うと、予防には使えても、駆除に使うことはできません。
お酢は害虫の忌避効果があるため、テントウムシダマシの成虫を近づけないことはできます。しかしお酢に殺虫効果があるわけではないため、駆除には使えません。またお酢は雨や水やりで流されてしまうので、こまめに散布する必要があります。

米ぬかは油かすや石灰などと混ぜてボカシ肥料とすることで、土壌中の栄養バランスが良くなり、作物の草勢が高まる効果があります。しかし、直接的な防虫・殺虫効果があるわけではないので、過信は禁物です。

テントウムシダマシを抑制するために気を付けること

テントウムシダマシの被害を防ぐためには、早めの発見と駆除が重要です。特に成虫や成長した幼虫は動きが活発で食欲も旺盛なため、被害が急速に広がる可能性があります。そのため、卵や小さい幼虫の段階で対策を行い、被害の拡大を防ぐことが効果的です。

テントウムシダマシの飛来を防ぐにはまた、畑周辺の雑草を定期的に取り除くことが効果的です。雑草が減ることでテントウムシダマシが寄り付く場所を減らし、畑への侵入を抑える環境を作ることができます。

春になると、越冬していた成虫がジャガイモの畑に飛来し、葉の裏に卵を産むことがよくあります。ジャガイモを他のナス科野菜などと一緒に育てる場合、それぞれの畑を十分に離して配置することで他のナス科野菜への被害を軽減できる場合があります。

まとめ

テントウムシダマシの防除には、卵や幼虫の段階での早期発見・駆除が重要です。越冬成虫が春に飛来して産卵するため、畑の配置を工夫してナス科作物同士を離して育てることや、畑周辺の雑草を取り除いて発生しにくい環境を整えることが効果的です。

ぜひ本記事を参考にして、テントウムシダマシの防除を行ってみてください。


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