オリーブって?
オリーブは地中海地方原産のモクセイ科に属する常緑高木で、その美しいシルバーグリーンの葉と生命力の強さから平和の象徴として親しまれています。暑さに強く、乾燥した土壌でも育つため、庭木や鉢植えとしても人気があります。
樹形は直立型・開帳型・下垂型の3つに分類されます。それぞれの特性を生かして、植え付ける場所や目的に合わせて選ぶことが大切です。収穫の時期は秋から冬にかけての10月〜12月頃です。
直立型
真っすぐ上に成長する性質があり、背が高くなるのでシンボルツリーに適しています。ベランダや狭いスペースなど、横に広がってほしくない場所におすすめです。
開帳型
横に広がるように成長する性質があり、広いスペースを確保できる庭などに最適です。建物や他の植物との間隔を考慮して植えると、ダイナミックな樹形を楽しめます。
下垂型
枝が下に垂れ下がるような独特の樹形を持ち、優雅な雰囲気を演出します。隣の植物との間隔に注意して植え付け場所を決めることがポイントです。
オリーブの品種
オリーブには世界中で1500種類以上の品種が存在し、それぞれ特徴や用途が異なります。初心者には耐寒性が強く育てやすいミッションやマンザニロがおすすめ。庭木として目を引くシンボルツリーには直立型のアスコラーナやオヒブランカなどが人気です。
一方、果実を楽しみたい人には果実が大きく風味豊かなカラマタやコロネイキがおすすめ。
自家結実性の高い品種もありますが、複数の品種を混植することでより安定して実が付きます。それぞれの品種が持つ特性を理解し、育てたい場所や目的に合った品種を選ぶのがポイントです。
オリーブは家庭菜園に向いている?
オリーブは、家庭菜園で育てるのにぴったりな果樹です。気候の変化に強く、乾燥気味の環境を好むため、手間をかけずに育てられます。
特に接ぎ木苗を選ぶと病気に強いため、初心者でも育てやすいのが特徴です。地植えの場合は水はけの良い場所を選び、植え付け前に土をアルカリ性に調整すると成長がスムーズです。
一方、鉢植えの場合は軽い土を使い、根詰まりしないよう1〜2年ごとに植え替えを行いましょう。また、日当たりの良い場所を選び、冬には防寒対策をしっかり行うと安心です。
直立型のオリーブ品種
アスコラーナ
アスコラーナは、イタリア原産の大粒オリーブ品種で、特に食用として人気があります。果実は楕円形で柔らかく、苦味が少ないのも特徴。イタリアの伝統料理オリーヴェ・アスコラーネにも欠かせない存在です。
オヒブランカ
オヒブランカはスペイン原産のオリーブ品種で、成長が早く、耐寒性や病害虫への強さが特徴です。直立型の樹形は整いやすく、剪定が簡単なので、初心者にも最適な品種と言えます。また、自家結実性があり1本でも実が付きやすいので、家庭でのオリーブ栽培にぴったりです。
カラマタ
カラマタはギリシャ原産の高級オリーブ品種で、丸みを帯びた緑葉と大きな実が特徴的です。樹勢は強く直立型で、おしゃれな樹形は庭木やシンボルツリーとしても人気があります。果実はジューシーで甘く、柔らかな肉質が魅力。特にブラックオリーブとして知られ、塩漬けやオリーブオイル用として利用されることが多いです。
シプレッシーノ
シプレッシーノは、イタリア原産のオリーブ品種で、銀葉の美しい葉と直立型の樹形が特徴です。樹高は低めで成長がゆっくりなため、庭木や鉢植えに最適です。葉の表側は深い緑色、裏側は銀白色で、光の角度によって見えるコントラストがとても魅力的です。
この品種は、病害虫に強く、初心者でも育てやすいことで人気があります。果実はピクルスやオリーブオイルに利用され、風味豊かで楽しめます。また、シンボルツリーとしての観賞価値が高く、狭いスペースでも育てやすいのも魅力です。
ミッション
ミッションは、アメリカから日本に渡ったオリーブで、美しい銀白色の葉と直立する樹形が特徴です。観賞価値が高く、庭木や鉢植えのシンボルツリーとして人気があります
この品種から採れるオリーブオイルは、フルーティーでスパイシーな味わいが魅力的。果実は中粒で、1本でも実を付けることができますが、他の品種を近くに植えると結実が安定します。
開帳型のオリーブ品種
アイセブンセブン
アイセブンセブンは、イタリアの国立研究所で育成されたオリーブ品種です。この品種は中~大粒の実を付け、特にオリーブオイル用として改良されたため、オイル含有率が高く、香り豊かなオイルが楽しめます。また、新漬けや塩漬けなどにも適しており、使い勝手の良さが魅力です。
アザパ
アザパはチリ原産のオリーブ品種で、大粒から特大粒の果実が特徴の希少種です。国内では苗木の生産が少なく流通数も限られていますが、そのおいしさと育てやすさから高い人気を誇ります。果肉が硬く、オイル含有率が低いため、新漬けやピクルスに最適です。
アルベキーナ
アルベキーナはスペイン原産の小粒で可愛らしいオリーブ品種です。その最大の魅力は甘い香りと高品質なオイル。バナナやアーモンドを思わせる南国系の香りが特徴で、オイルは苦味や辛味が少なく、柔らかな甘みがあります。
また、自家結実性があり1本でも実を付けるため、初心者にも育てやすい品種です。早期結実性が強く、樹齢2~3年で収穫できる点もうれしいですね。
カヨンヌ
カヨンヌはフランス原産のオリーブです。葉の先端が上を向き、裏側の銀白色が際立つため、輝くような見た目が特徴です。自然と整う樹形は手入れがしやすく、育てやすさもポイントです。また、花芽が多く開花時期が早いので、受粉樹としても適しています。
コラティーナ
コラティーナはイタリア原産のオリーブ品種で、南部イタリアのプーリア地方を中心に栽培されています。中型の果実はオイル含有率が非常に高く、特にポリフェノールが豊富な高品質なオリーブオイルが得られるのが魅力です。
コレッジョラ
コレッジョラはイタリア原産のオリーブ品種で、成長速度が速くさまざまな環境に適応できるため育てやすいと評判です。樹勢が強く、耐寒性・耐暑性に優れており、観賞用としてもシンボルツリーとしても人気があります。表は鮮やかな緑色、裏は銀色の美しい葉が特徴的で、庭や鉢植えでおしゃれな雰囲気を演出します。
果実は中型でオイル含有量が多く、高品質なオリーブオイルを生産できることが最大の魅力。オイルはフルーティーで少しスパイシーな風味を持ち、イタリア料理をはじめさまざまな料理に活用されています。
コロネイキ
コロネイキはギリシャ原産のオリーブ品種で、オリーブオイルの女王とも呼ばれるほど高品質なオイルを生産できることで有名です。果実は1~2gと小粒で楕円形、早熟タイプで安定した収穫が期待できます。オイル含有量は20~23%と高く、フルーティな香りと心地良い苦味、草のような爽やかな風味が特徴のオイルを楽しめます。
コロネイキは成長が早く、高温・乾燥に強い上、病害虫にも比較的耐性があるため初心者にも育てやすい品種です。ただし耐寒性が低いため、寒冷地では鉢植えにし、冬は室内管理するのがおすすめです。
サウスオーストラリアンベルダル
サウスオーストラリアンベルダルは、オーストラリア南部で広く栽培されるオリーブ品種で、大きな実をたくさん付ける生産性の高い品種です。
実はしっかりとした歯応えが特徴で、新漬けや塩漬けに最適です。樹形は開帳型で枝が長く伸びるため、適切な剪定を行うと美しい樹型を楽しめます。
開花期間が長く、毎年多くの花芽を付けるため、受粉樹としても利用できますが、樹齢が若いうちは結実しづらい点には注意が必要です。
ネバディロブランコ
ネバディロブランコはスペイン原産のオリーブ品種で、観賞用としても人気の高い定番品種です。葉は薄い緑色で柔らかく、枝葉が豊かに茂るため、シンボルツリーや目隠しとして利用されることが多いです。
果実は中程度の大きさで、楕円形または球形。成熟すると黒色になり、漬物やオイル用に利用できます。特にこの品種から作られるオリーブオイルは、フルーティーで軽やかな風味が特徴です。
ハーディーズマンモス
ハーディーズマンモスはオーストラリア原産の大実品種で、育てやすさと果実のおいしさから人気を集めています。樹形は開帳型で枝葉がよく広がり、樹勢が強く病気に強いため、初心者にもおすすめの品種です。耐寒性や耐暑性が高く、日本全国で栽培が可能です。
果実は4~8gと大きく、渋みが少なくフルーティーな香りが特徴。特に黒く完熟した実をメープルシロップ漬けにすると絶品です。
バロウニ
バロウニはチュニジア原産の特大実を付けるテーブルオリーブ品種です。果肉はしっかりとした味わいで、新漬けやピクルスにぴったり。自家結実性があるため、1本でも実を付けることができますが、他品種を混植すると更に結実が安定します。
乾燥に強い耐性を持ち、暑い気候に適応しているため、環境の変化にも強く育てやすい品種です。
ピクアル
ピクアルはスペイン原産のオリーブ品種です。真っ直ぐに伸びるすらりとした樹形とやや大きめの葉が特徴で、自然と美しい形にまとまりやすく、初心者にも育てやすいのが魅力です。スペインのアンダルシア地方を中心に広がり、果実の鋭利な形状が名前の由来となっています。
この品種から作られるオリーブオイルは、耐酸化性に優れ、調理や保存にも最適です。
マンザニロ
マンザニロは、スペイン原産で小さなリンゴを意味する名前の通り、丸く可愛らしい実が特徴のオリーブ品種です。濃い緑色の小さな葉が密に茂り、果実は大粒で、塩漬けやピクルスとして広く親しまれています。
庭木や鉢植え、垣根など、用途も多様で育てやすい品種なので、初心者にもピッタリです。
ルッカ
ルッカはイタリア原産のオリーブ品種で、濃い緑色の葉と開帳型の樹形が特徴です。病気や寒さに強く、日本でも育てやすい定番品種として人気があります。
果実は中程度からやや大きめで、楕円形の肉厚な実が魅力。味わいはフルーティーで軽やかさがあり、ナッツのような風味がアクセントになっています。このオリーブから作られるオイルは滑らかで繊細な味わいが特徴で、サラダやドレッシングにぴったりです。
レッチーノ
レッチーノはイタリア原産のオリーブ品種です。樹形は開帳性で、観賞用としても楽しめる美しい姿が特徴です。葉は細長い楕円形で表側は明るい緑色、裏側は銀色掛かったグレーです。
実は楕円形で果肉が多く、熟すと黒く光沢を帯びます。この実から作られるオリーブオイルは、フルーティーでまろやかな高品質の風味が魅力です。
下垂型のオリーブ品種
タジャスカ
タジャスカはイタリア・リグーリア州原産のオリーブ品種で、小粒ながらも高いオイル含有率を誇ります。そのオイルはマイルドでフルーティな風味が特徴で、イタリア料理にも広く使用される高品質なエクストラバージンオリーブオイルが作られます。樹形は下垂型で樹勢が強く、生育旺盛な点も魅力です。
自家結実性は少しありますが、異なる品種を近くに植えると結実が安定し、収穫量が増加します。成熟は遅めで、収穫時期は1月頃。寒さや乾燥に弱い一面があるため、適切な環境管理が求められますが、その分育てる楽しさも感じられる品種です。
タジャスカはフルーティなオイルを求める人や、本格的なオリーブ栽培に挑戦したい人にぴったりの品種です。
まとめ
オリーブは観賞用としても食用としても楽しめる植物です。品種ごとに異なる樹形や果実の風味を持ち、育てる環境や目的に合わせて選ぶ楽しみがあります。初心者でも育てやすい品種から、特別なオイルを楽しめる希少品種まで、選択肢は幅広いです。家庭菜園や庭のシンボルツリーとしてオリーブを育てれば、常緑樹ならではの豊かな緑を一年を通して楽しむことができ、自然の恵みを身近に感じられること間違いなしです。