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漁業はもうかるし自由! 人生を“フリースタイル”で楽しむ漁師

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今回やってきたのは、北海道道南地域の渡島(おしま)半島にある八雲町。日本海と太平洋に面している日本で唯一の町で、農業だけではなく漁業も盛んです。このエリアで、「フリースタイル漁師」という働き方を掲げているホタテ漁師さんがいるといううわさを聞きつけてやってきました。
フリースタイルというと、型やきまりにとらわれないことを指すと思うんですが、そもそも漁師がどういう職業で、漁業がどんな業界なのかもよくわかっていないコバマツ……。フリースタイル漁師がどんな漁師なのか、想像もつきません!
というわけでご本人、掛村陽介(かけむら・ようすけ)さんに、基本的な漁師のことから掛村さん自身の働き方に至るまで、いろいろ聞いちゃいました!

フリースタイル漁師になったワケ

コバマツ

掛村さん、私がイメージしていた「ザ・漁師!」みたいなコワモテな感じとは全然違いますね! フリースタイル漁師って自由な感じで、楽しそう!
早速いろいろと聞いていきたいんですけど、掛村さんはどうして漁師になったんですか?
実家は元々、ホタテ漁を専門にしている漁師でした。でも僕は札幌の大学に進学して、体育の先生になろうと思って教師の免許をとったんですよ。体を動かすのが好きだったんで。でも途中から「あれ、教師っていろいろ縛りがあって、大変そうだ」って気づいたんですよね。僕、フリースタイルな感じじゃないと苦しくなっちゃうんで。
それから、教師になるのはやめました。

掛村さん

コバマツ

じゃあ、大学卒業後すぐに実家を継いで漁師になったんですか?
いいえ、大学を卒業してからは、札幌のスキーショップでスキーの道具やウエアを販売する仕事をしていましたね。スキーが好きだったんで。スキーをするためにカナダにワーキングホリデーに行っていた時期もありました。

掛村さん

コバマツ

海外に行ってスキーを楽しんでたなんてうらやましい! で、そのあと漁師になったんですか?
30歳での結婚を機に、奥さんが台湾人だったこともあって今後子供ができたりとかも想定したら、周りに助けてくれる人もいないし、生活を考えたらそのまま2人で札幌に住むのも大変だよなって思ってたんですよね。ちょうどそのタイミングで実家の漁も大変そうだったので、実家に帰って漁師を継ごう!ということになりました。

掛村さん

コバマツ

結婚を機に漁師になる決意をしたんですね!

漁師の仕事事情

コバマツ

私、漁業についての取材は初めてで、全く漁師の仕事について分からないんですけど、掛村さんはどんな仕事をしているんですか?
うちはホタテがメインで、他にはアワビ、ナマコ漁もやっています。
ホタテ漁は2年がかりです。まず1年目の5月から6月にかけて、網でできた採苗器を海に入れてホタテの赤ちゃんを付着させます。7月中旬~8月頭くらいまで採苗器についたホタテの稚貝を取り、それをカゴに入れて海中に入れて育てる。ホタテはどんどん大きくなるので、その成長に合わせて、10月に大きいカゴに移し替えます。翌年の3月にはカゴから出したホタテをヒモにくっつけていく「耳づり」という作業が5月まであり、そこからまた海で翌年3月まで育てる。そのあと引き上げて出荷するから、ホタテ養殖は年中作業があるんですよね!

掛村さん

耳釣り作業

約1年間育てたホタテの貝殻の“耳”と呼ぶ部分に穴を開け、それをロープにつなげて海中に垂らすための作業が3~5月に行われる

コバマツ

おおお! 農業は農繁期がある一方で、北海道だと農家は冬の農作業は休みになることが多いですが、ホタテ養殖は年中作業があるんだ! 忙しそうですね!
そうでもないですよ!
耳づりとホタテの出荷が重なる3月から5月は、深夜1時から夕方4時くらいまで作業があるから忙しいけど。その他の時期はわりと自由に働けて、午前中だけの日もあれば休みの日もあって、結構自由ですよ。
アワビ漁とかナマコ漁は、その合間の時間があるときに船を出してやってます!

掛村さん

ホタテ

出荷するホタテ

コバマツ

そうなんですね! 農業だと毎日作物の状況を見なきゃとか、肥料や水をあげたりとかいろいろありますが、ホタテ養殖は毎日やらなきゃいけないことってあるんですか?
いや、毎日はないですね。ホタテは勝手にプランクトンを食べて育ってくれるし。
ホタテが大きくなってきたら、網を移し替えてあげるくらいかなぁ! あとは、カゴやロープを直したり作ったりの丘作業(陸上での作業)がありますね!

掛村さん

コバマツ

なんだか思っていた漁師のイメージと全然違って、農業よりも自由そうだなぁ! いいなぁ!

自分次第で稼げて楽しい、フリースタイル漁師!

コバマツ

あらためて、「フリースタイル漁師」ってどんなようなものなのでしょうか?
もともと、漁師だけを仕事にするつもりはなかったんですよね。実家に戻ってきて、自分のところで取れたホタテとか魚をキッチンカーで販売することを考えてみたり。
今は、冬はスキーのインストラクターをしていて、台湾や中国から来た人に中国語でレッスンをしたりしています!

掛村さん

スキーを楽しむ掛村さん

冬は漁師をしながらスキーも楽しむ

コバマツ

へえ~! 漁業とは関係ない仕事と両立することもできるんですね。
あとはホタテの耳づり大会とかも開催して、地域の人にも漁業を通して楽しんでもらう企画とかもやっています。
漁も繁忙期は朝から晩まで作業がありますけど、年の半分は午前中だけ働くとか自分のペースで仕事していますよ。

掛村さん

耳釣り大会

地域の人達で耳づりの速さを競うイベント「八雲世界耳吊(づ)り選手権」も実行委員長として開催している

コバマツ

めっちゃ自由で楽しそう!! 漁師って今まで関わりがなかったから、コワいおっちゃんがやっているイメージでしたが、掛村さんとお話ししてイメージが変わりました。勝手に「よそ者は入れない閉鎖的な業界」みたいに思っていたんですが、地域の人に開かれたイベントなんかもあって、結構オープンなんですね!
最近は変わってきていて、わりとオープンなんじゃないかなぁ! 人や年代にもよると思うけど!

掛村さん

コバマツ

掛村さんのお話を聞いていたらどんどん漁業に興味が湧いてきちゃった!

漁業はもうかるが、支出も多い

コバマツ

ぶっちゃけ……漁業ってもうかりますか?
これも取れる年、取れない年があるから断言できませんが、もうかると思いますよ!

掛村さん

コバマツ

漁師の年収ってだいたいどれくらいなんだろう?
ホタテ漁メインだと1000万~2000万円くらいかなぁ。これもやっている規模や人によるけど!

掛村さん

コバマツ

めっちゃもうかりますね!
あとは、アワビだと1キロ5000円で、ナマコは1キロ6000円ぐらいで売れるかなぁ。時期によりますが。朝7時から12時くらいまで仕事して、1日で10~15キロくらい取れます。

掛村さん

ナマコ 写真

ナマコは特に高く売れるから、取れるのが面白いそう

コバマツ

農産物と全然価格が違う!
でも出ていくお金も大きいかな。ホタテ漁で使う船だと1つ1億円はするし、他の漁で使う船も5000万くらいはする。耳づりに使う道具も1つ200万~300万するから、それを3~4つそろえるだけでも結構な金額に……。

掛村さん

コバマツ

1億! 農業機械でも高くて2000万~3000万円ですけど桁が違う!
売り上げが大きい分、出ていく金額も大きいんですね!

中国による日本の水産物の輸入規制、影響は?

コバマツ

流通についても聞きたいんですけど、漁業の流通ってどうなっているんですか?
基本、漁師が取ったものを漁協に卸して、そこから漁協が流通させています。その先の流通はどこにどう流れているか、分かんないなぁ。
海外にも頑張って輸出してくれているみたいで、中国の輸入規制とかいろいろと規制も発生したけど、今のところ昨年と比べて売り上げが下がっているということはなさそうです。今は中東とかにも頑張って販路を広げてくれているみたいです。

掛村さん

コバマツ

そうなんですね! あんまり影響はないんだ! 

漁師になりたいと思ったら

コバマツ

漁師にはどうやったらなれるんですか?
社員として雇われるっていうことも考えられるけど、まずはアルバイトからかなぁ。

掛村さん

コバマツ

漁師ってアルバイトでできるんですね! 時給ってどれくらいなんですか?
だいたい1000~1500円かなぁ。

掛村さん

コバマツ

まあまあ高いですね! 私も漁師デビューしたくなってきちゃいました! 都会で働くより、自由そうだし、お金も良さそうだし!
朝が早かったり、きつそうなイメージがあるんだと思うけど、それは繁忙期のいっときだけ。あとは自分次第で楽しくも自由にもできる仕事だと思います! 今度また来たら船に乗せてあげますよ!

掛村さん

コバマツ

やったー! 絶対いきますー!

掛村さんと夕日

漁業ド素人のコバマツは、漁師=怖い。漁業=閉じられたコミュニティーだ!と思い込んでいました。しかし、掛村さんのフリースタイル漁師の話を聞いてイメージが一変。掛村さんのようなホタテ漁師の働き方なら自由そうだし、もうかりそうという印象を受けました。漁師は大変そうというイメージがありますが、働き方はいろいろと選べそう。まずは思い込みを捨てて、一度バイトからでも飛び込んでみると、想像もしていなかった魅力に出会えるかもしれません。


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